他の国の言語を覚えるのって大変ですよね。
みなさんも学生時代に学校で英語を学習した経験があると思いますが、英語を覚えるのに苦戦した人も多いのではないでしょうか。
英文を書いたり単語を聞き取るぐらいなら簡単に出来る人もいるかもしれませんが、実際に外国人と英会話でコミュニケーションを取れるかと言われると中々難しいですよね。
私たち日本人が英語の習得に苦労するのと同じように、外国人の方々が日本語を習得するのも苦労します。
特に日本語は漢字、ひらがな、カタカナと日本語の表記は3つもあり、
「白」と「城」、「点」と「天」などのように同じ読み方でも違う意味を持つ言葉がたくさんあるので覚えるのも大変です。
世界中の数ある言語の中でも日本語はトップクラスに難しいとされますので、外国人の方に日本語を覚えてもらう際にはそのような点を踏まえて分かりやすく教える必要があるのです。
そんな中、日本語教育の新しい”カタチ”として今注目されているのが「やさしい日本語」です。
やさしい日本語って?

やさしい日本語とはその名の通り日本語をやさしい文体で表すことを主として、簡単で分かりやすく外国人の方なら誰もが理解できるような日本語を指します。
単に日本語を簡単に伝える表現方法があるということに終わらず、やさしい日本語は政府や自治体が後押しして日本中に普及しようと取り組もうとしている施策の一環でもあります。
政府は多様な価値観を認める多文化共生社会を掲げており、多文化共生社会では国籍や文化が異なる人たちが対等な関係を築いて共に生きていく社会を目指します。
複数の国籍の方々が共に生きていくにはコミュニケーションを取るために共通の言語が必要になりますが、日本で生活する場合は日本語が主言語として活用されていきます。
ただ、日本語は先程も述べたように大変難解な言語ですので、現状のままでは異国人同士でコミュニケーションを取るツールとしては中々扱いづらいでしょう。
実際に火災や震災が発生した時には同じ日本語のアナウンスでも、外国人には伝わりにくく助かる状況ではあったのに言葉が分からず被害を受けた方もたくさんいらっしゃいました。
そのような背景を踏まえて平易で誰もが分かりやすく理解できる日本語としてやさしい日本語が誕生しました。
最近では外国人労働者受け入れの拡大の問題が政府でも頻繁に取り上げられているように、多文化共生社会はもう目前まで近づいています。
また、今後日本では2021年の東京オリンピックや2025年の大阪万博など開催されることもあり、日本に興味関心を抱いて日本語を覚えようとする外国の方も増えてくるでしょう。
日本語教育に携わる人に限らず、外国人の方とコミュニケーションを取る機会がある人は是非とも身につけておきたスキル、それが”やさしい日本語”なんです。
どんな内容?
やさしい日本語には主に2つの伝え方があります。
1つは難しい言葉を避けて文章の構造を簡単に表現する方法。
もう1つは漢字にふりがなを振るなどして外国人でも読みやすい文章に仕上げる方法。
最初の文章の構造を簡単にする方法とは、熟語や難しい言い回しを小学生でも分かるような形容詞や単語に代用することで表せます。
単語で例えるなら、
「給水所」→「水が飲める場所」
「代用品」→「代わりに使うもの」
「未完成」→「まだ出来ていない」
例文では、
「昨夜未明、北海道地方を震源地とした大きな地震が発生し、家屋は倒れて火災が発生するなど甚大な被害を受けました。」
↓
「昨日の夜に北海道を中心としたところで大きい地震がありました。家は壊れて火事にもなり大きな被害を受けました。」
上記の赤字のように、やさしい日本語を意識することで簡単な言葉を用いて表すことができるようになります。
小学生でも分かるような文体に変わりましたので、スッと頭に入ってきたのではないでしょうか。
やさしい日本語は私たち日本人からしてみれば返って読みづらい部分もあったりしますが、語彙力の少ない外国人の方では単語の意味をそもそも知らないこともあるので、なるべく簡単な表現を用いた日本語で文章を作ることを心がけることが大切です。
NHKではニュースにも
やさしい日本語は最近になって動き始めたプロジェクトなのでまだまだ世の中には浸透されていませんが、NHKでは2012年の4月からやさしい日本語に対応したウェブニュースを提供しています。
NEWS WEB EASY(やさしい日本語で書いたニュース)では国内に在住する外国人の方を対象に、日本国内で起きた出来事や災害情報などを読むことができます。
NHKでは単に文章を簡単にしたり漢字にフリガナを振る以外にも、人の名前は緑色、国や場所の名前はオレンジ色と色分けもしており、より外国人の方に分かりやすく伝わるよう工夫されています。
さらにWebという媒体の特性を生かし、単語にカーソルを合わせるとその言葉の辞書の説明を見ることができるといった配慮もなされてます。
NHKのようなやさしい日本語の取り組みが他の企業にも広がれば、政府の目指す多文化共生社会もすぐに実現できるでしょう。
資格を取得するには

やさしい日本語に対する企業の取り組みがまだ浸透されていないように、学べる教育機関も現時点ではあまり存在しません。
そんな中、教育スクールで有名なヒューマンアカデミーではやさしい日本語指導者養成講座という講座を開講しています。
やさしい日本語指導者養成講座では語彙を制限して分かりやすく伝える方法や、外国人とのコミュニケーションの正しい取り方など学んでいきます。
最終的には自らが指導者として活躍できるようになるまで知識や技術を身につけられます。
多文化共生社会に向けていち早くスキルを習得しておけば、スキルアップや就職活動にも大いに役立てられるでしょう。
校舎に通うは難しいという方のために、ヒューマンアカデミーが運営する通信講座専門サイト「たのまな 」にもやさしい日本語に関する講座を開講しています。
たのまな が開講する日本人のための「やさしい日本語」活用講座では、35,000円という低価格で学ぶことができます。
通信講座なので通学と比べると学べる量は減りますが、とりあえずやさしい日本語に触れてみたいという方はまずは通信講座で勉強してみるのもいいでしょう。
また、ヒューマンアカデミーでは文化庁認定の日本語教師養成講座も開講しているので、日本語教師に資格をまだ持っていない方は是非こちらの講座もお勧めします。
