日本と同じアジア圏で社会主義国家としても知られるベトナム。
同じアジアだと韓国や中国のが日本との距離も近く親しみもあるので、日本人からすればベトナムと聞いても名前を知っている国程度の認識の人が多いかもしれません。
しかし、ベトナムは日本語教育業界ではかなりメジャーな部類に入る国で、日本語教師としてベトナムで働く方はたくさんいらっしゃいます。
なぜ日本語教師の勤務先としてベトナムが選ばれるのか、その理由について解説していきます。
日本語が第二言語として扱われている
ベトナムにはベトナム語があるので、一般的な会話には当たり前ですが母語(第一言語)であるベトナム語が用いられています。
ただ、授業で習うようないわゆる第二言語には、グローバル言語の英語やアジアで一番使われる中国語の他に、日本語も含まれているのです。
近年、ベトナムでは日本語教育に非常に力を入れており、初等教育の一環として日本語教育の導入を小学校で実施しています。世界から見れば日本語は1億人程しか使用しないマイナー言語ですので、そんな日本語が他の国で小学校から教えられているという事実には驚きですよね。
ベトナムの首都ハノイにある大学には日本語学部という学部もあり、大学在籍中に数百~数千時間日本語についてひたすら学習する人たちもいます。
また、日本に来るベトナム人留学生は毎年約5万人以上いるとされ、2017年度の外国人留学生の出身国ごとの留学生数では何と2位になります。
しかも1位は中国なので単純な人口数で考えればベトナムと中国では10倍近く人口差があるので中国よりも下回りますが、総人口の中で日本へ留学に来ている人の割合で考えればベトナムは中国も凌ぐのです。
日本語教師が不足している
第二言語としても日本語が普及されているベトナムですが、実は日本語を教える日本語教師の数は不足しているのです。
不足しているというと一見、学習者の需要がないから人手がこないようにも思われやすいですが、真逆で日本語を学びたい学習者が多すぎるが故に日本語教師の供給が足りなくなっているのです。
小学校に日本語教育を導入すれば何千単位での人材を確保する必要があるので、人材不足になってしまうのも仕方ないことのなのかもしれません。
日本語教育学会が出している「ベトナムにおける日本語教育の事情」というレポートにも、問題点として教師不足の問題が取り上げられています。
このレポートを見ても、日本語学習者の数は大幅な増加傾向にありますが、それに対して教師の増加(供給)が追いついていないことがわかるでしょう。
数が足りていないことあり、1人の教員が1000コマ以上担当しているという現状も驚きですよね。
ただ、この状況は現在日本語教師でベトナムで働きたいという方にとっては絶好の機会でもあります。
実際にベトナムの日本語学校では求人を多く出しており、積極的に日本語教師の採用活動を進めています。
東京オリンピックや大阪万博の影響で日本語教師を目指す方は今後増えていく可能性もあるので、日本語教師の需要が高く供給の少ない今のうちに活動しておくといいでしょう。
世界でもトップクラスの親日
国日本語教師の不足から働きやすいという理由でベトナムが選ばれるところもありますが、ベトナム人は親日の人が多く生活しやすいという面で選ぶ方もいらっしゃいます。
親日国というと台湾やトルコと言った国が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、ベトナムも実はかなりの親日国なんです。
確かによく考えてみれば日本のことを良いように思っていなければ、初等教育に日本語教育なんて取り入れませんもんね。
ベトナム人が日本を良く思ってくれている理由は色々とあり、政府開発援助(ODA)で多額の出資、日本製品や日本食の人気、日本人の礼儀正しい性格などが挙げられます。
日本人だと分かれば快く接してくれる人も多いので、ベトナムでの生活は楽しく快適に過ごすことができます。