近々、日本語教師業界をざわつかせている”国家資格化“の動き。
この記事を書いている2020年2月の時点では正式に国家資格化されるといったニュースはまだ入ってきていませんが、色々なメディアで話題になっているのでかなり現実味を帯びてきています。
※2020年2月14日「公認日本語教師(仮称)」を創設する報告書が了承され、文化庁が検討後2020年度以降に関連法の成立を目指すことが具体的に決まったそうです!
前々から国家資格になるのではないかと囁かれてはいましたが、特に注目を浴び始めるようになったのは2019年9月に朝日新聞から出た下記記事が出た頃です。
また、その2ヶ月後には文化庁が「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」という資料を提出し、国家資格化の動きに向けて具体的な意見を申し出ました。
この資料では資格制度を創設する目的から制度の枠組み、具体的な試験範囲から資格交付後の更新講習まで一連のフローが明記されています。
かなり具体的な内容まで提言されていますのでこれにより更に国家資格化へ向けて一歩前進しました。
色々と話題になっている国家資格化の動きですが、ここでは国家資格化による気になる点や不明点をまとめてみました。
いつから開始される?

非常によく聞くのが国家資格がいつから実施されるかという点です。
これに関しては国家資格の実施がそもそも現段階で確定していないので、残念ながらまだ分かりません。
今年東京オリンピックが開催され日本語教育について改めて考える機会も増えるので、もしかしたら年内中に確定される可能性は高いかもしれません。
国家資格の実施は正式に決定する方向ですが、具体的な実施日に関しては2020年の4月の時点でまだ明確に定まっていません。順調にいけば2021年には見込まれますが近年のコロナ騒動や緊急事態宣言の発令により先延ばしになる可能性はかなり高そうです。
また、正式に国家資格化が決まったとしても、実際に試験が実施されて国家資格が付与されるのはまだ先になるでしょう。
2019年6月に「愛玩動物看護師法」によって動物看護師を国家資格とする法律が成立されましたが、国家試験の実施は早くても2023年とされています。
法律が成立してから試験の実施まで少なくとも4年は掛かっていますので、もし仮に2020年中に動きがあったとしても私たちが日本語教師の国家資格を取得できるのは大分先になるでしょう。
何のために?

そもそも何のために国家資格を新しく作る必要があるのでしょうか?
日本語教師には既に文化庁指針の420時間カリキュラムに対応した講座を修了することで得られる資格が既にありますし、国家資格ではないとは言え文化庁が関わっていますので信頼性は十分高いはずです。

これに関しては、先にも挙げた文化庁の資料に詳しく書かれており、特に下記3点が主な要因になるでしょう。
①現在の日本語教育機関の課題解決
②人材の確保
③信頼性の向上
現在の日本語教育機関の課題解決
日本語教育機関の課題とは現在の制度では均等に教育の資質・能力が確保されていないことが問題視されています。
日本語教師を養成する機関は毎年増加傾向にあり、教育の場がたくさん用意されているといったメリットがある反面、提供する教育の質が各養成機関によってばらつきが出てしまっています。
また、日本語教師には正規・非正規以外にもボランティアとして働いている人も多く、教育機関によっては専門性が欠如しているところもあります。
こういった教育格差を是正するには資格制度を設けて均一な質を保つ必要があります。
人材の確保
日本語教師として働いている方は現在4万人近くほどいますが、日本語を意欲的に学びたいと思っているは全世界に400万人ほどいるとされています。
全員が全員学校に通って日本語を学ばなければいけないというわけではありませんが、教師の数に対して学習希望者の数は100倍というのは相当多く感じられるでしょう。
単純に考えて教師1人につき生徒100人という計算になりますので、日本語教師の数がいかに不足しているかが分かるでしょう。
信頼性の向上
民間資格でもある程度の信頼性はありますが、国家資格と比べるとやはり大きな差があります。
単に国から認められるというだけではなく、国家資格化することによって業務独占や名称独占といった唯一無二の地位が確保されるので、今後の日本語教師の今後の働き方や仕事の価値観にも大きな変化をもたらすことになるでしょう。
文化庁の講習の価値はどうなる?

今現在日本語教師として働いている方、これから勉強して日本語教師を目指す方としては一番気になるのは現行の日本語教師の効力はどうなるかという点ではないでしょうか。
特にこれから日本語教師を目指す方にとって国家資格が始まるまで待った方がいいのか悩んでいる人も多いでしょう。
ただそんな心配はする必要もなく、現存の日本語教師養成講座でも十分価値はあると私は考えています。
国家資格といっても今ある養成講座の知識をベースにして創られますので、今から学校で学ぶ知識が役に立たないとかそういうことはありません。
現在の学校で定められているカリキュラムも文化庁の指針に基づいているので、社会的価値は十分高いです。
また、実際に文化庁が新しく作る国家資格の仕組みの構想として、以下のような資料も提出しています。
>>日本語教師の資格の仕組みイメージ(案)議論のためのたたき台
上記の資料の一番右に「現行の法務省告示基準の教員要件を満たす者(経過措置)」の矢印がそのまま公認日本語教師(仮)に繋がっているように、現資格を保有していることで国家資格も付与されるイメージで話を進めているようです。
なので、現行の文化庁指針の資格が無駄になることはほとんどないと思っていいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日本語教にも遂に待望の国家資格化が正式に決まりました。
国家資格化によって日本語教師に対する世間からの価値観も変化していき、待遇や仕事の地位も大きく改善していくことになるでしょう。
ただ、新型コロナウイルスの影響もあってか今回の国家資格を取得して日本語教師を目指せるのはまだまだ先にはなりそうです。
現厚生労働大臣が認定する講習の価値もなくなることはありませんので、早く日本語教師として働きたい方はヒューマンアカデミーのような現状のスクールで学ぶのが今のところいいでしょう。
スクール選びに悩まれている方は良ければ下記記事も良ければご参照ください。
