コラム

日本語教師に需要はある?将来性は?

 

何か新しいお仕事に就きたいと思っても、その仕事に需要や将来性がなければ転職する気も中々起きないですよね。

これからの時代はAIの台頭で人々の働き方も大きな転換期を迎えようとしているので、業界の動向はこれまで以上に考える必要があります。

また、最近は新型コロナウイルスによって後押しするように、社会は急速に変化しつつあります。

 

せっかく頑張って勉強して資格も取得できたのに、働き口が見つからなかったら困りますもんね。

これはどの職業にも言えることで、日本語教師も例外ではありません

 

ここでは日本語教師の需要について、そして今後将来性はあるのかという点について迫りたいと思います。

 

日本語学習者は全世界で約360万人

日本語教師の需要を図る上で一番わかりやすい指標は、世界にどれだけ日本語を学んでいるor学びたいと思っている方がいるかという点でしょう。

日本語学習者が多ければ多いほど日本語を教える日本語教師も必然的に増えますので、需要がどれぐらいあるかも判断しやすいです。

 

世界に日本語を学んでいる外国人がどれくらいいるかと聞かれても、あまり想像つかないですよね。

英語や中国語のように汎用性の高い言語ではないので数十万人ぐらいいれば良さそうですが、実際は推定で日本語を今学んでいる日本語学習者の数は360万人ほどいるといわれています。

現在学んでいる人の数で360万人なので、これから学習しようか悩まれている潜在層を含めると更に多い数に跳ね上がります。

 

360万人というと静岡県民の総人口と同じぐらいの数で日本の都道府県別の人口ランキングではTOP10に入るほどです。

一時は400万人まで上昇していたのでそれから比べるとやや減ってきてはいますが、それでも世界ではメジャーではない言語なのにこれだけの数字があるのは凄いことでしょう。

 

外国人留学生・労働者は増加傾向

 

次はより日本との関わりが深い外国人留学生及び外国人労働者の数ですが、こちらは2017年の時点で共に過去最高の増加傾向にあります。

特に外国人労働者の伸びは著しく、2012年は約67万人程だったのに対して2017年では127万人と倍近い伸長率を見せています。

 

外国人労働者に関しては政府も注目している事柄で、2025年までにさらに50万人以上の受け入れを目指すことも視野に入れて動いています。

受入れ問題に関しては賛否ありますが、日本で働く外国人労働者が増えれば日本語を学ぶ人も相乗して増えるので日本語教育業界としてはかなり追い風になるでしょう。

 

少子高齢化で日本の総人口は毎年減少傾向にあるので、外国人労働者の受け入れの拡大は遅かれ早かれ実現すると私は思います。

 

オリンピック・万博効果で学習者は増える?

 

外国の方が「日本語を学びたい!」

 

と思うようになるのは様々な理由がきっかけだと思いますが、その1つに日本に興味や関心を持つようになったという点が挙げられるでしょう。

みなさんも日本語教師になりたいと思い始めたのは興味や関心が引き金となった方も多いことでしょう。

 

日本は四季折々の文化を始め、アニメやゲームなどのサブカルチャー、寿司や蕎麦といった日本食、ITや自動車などの技術力といったように日本独自の文化が優れておりそこから興味を持つ人も多いです。

特にアニメやゲームの影響は凄まじく、日本のアニメ産業の売り上げの半分近くは海外からの売り上げとも言われたりするほどです。

 

さらに、今後は2020年の東京オリンピックや2025年の大阪万博の開催も控えているので、日本に訪れてそこから日本を好きになる人もたくさん増えることでしょう。

2005年に愛知で行われた愛地球博では推定105万人ほどの外国人が来日していますので、あの頃よりも外国人の日本への関心は更に高まっていますので相当な訪日外国人数が見込めると思います。

 

実際に政府は東京オリンピックが開催される2020年の訪日外国人の目標に4,000万人という数字を掲げており、2018年の3,000万人よりもさらに1,000万人高い数字となっております。

 

仮に4,000万人来日したとしてその中の1割が日本に大きな興味・関心を示し、さらに1割が日本語を学習したいとなったら40万人もの日本語学習者が見込めることになります。

40万人も増えれば日本語教師の人材もかなりの数確保しなければならないので、需要もかなり高まることになるでしょう。

※皆さんもご存知の通り、新型コロナウイルスの影響によって東京オリンピックは2020年から2021年へ延期になりました。2021年の開催も開催も確実に実施されるかは定かではなく、仮に開催されたとしても当初目標としていた訪日外国人の数よりは下回ると予想されます。

 

日本語学校の増加

 

いくら学びたい人が増えても教育の場である学び舎がなければ働ける人も増えません

分かりやすい例で言えば、保育園に子どもを預けたい親御さんが多くても、そもそも保育園の施設が少ないので、結果的に保育士として働ける人が少ないという状況です。

 

保育問題の場合、保育士が少ないのが理由で保育園の施設が増えないという面もありますが、どちらにせよ学ぶ場所が増えなければそこで教える人の数も増えていきません。

日本語教師の働き場である日本語学校は留学生の増加も背景にあることからかなりの増加傾向を辿っており、ここ5年で全体の1/3ほど増えており2018年の時点で約680校ほどあります。

 

680校と聞くと以外と少なそうに思えますが日本の大学数が約760校ほどなので、大学の数と実はあまり大差ないのです。

もちろん大学と比べると規模が違うので同じ括りにしてしまうのはあれですが、現状日本語学校の数は増え続けているのは間違いありません。

 

養成学校の増加

 

日本語を学びたいという学生が増えるほど、日本語を教える教師の数も比例して増えていきます。

そして、教師の数を確保するために日本語教師を養成するための学校もここ数年で驚くほど増加しつつあります。

 

質の高い日本語教育の指導を保証する文化庁届出受理講座の数は、数年前までは数十校ほどでしたが今では100校以上にも昇ります。

 

おかげで、昔は養成学校の数も少なかったので地方の人は通いづらく不便でありましたが、最近は全国各地に校舎があるので誰でも通えるようになりました。

文化庁認定の学校にはヒューマンアカデミーやアークアカデミーなどの有名校があります。

 

新型コロナウイルスによる影響は?

 

2020年は新型コロナウイルスの影響で、社会は大きな転換期を向かえつつありますね。

緊急事態宣言の発令に伴い、やむなく会社を休業したりテレワークに切り替えたりと日本の労働観もこれまでとは大きく変化しつつあります。

 

日本語教育業界も新型コロナウイルスの影響は多大であり、教室という狭い空間で生徒と長時間一緒に時間を過ごさなければならない環境なので、休校という措置を取る学校がほとんどです。

今後どうなるのかと言われていると正直今の段階では誰も分からない状況ではありますが、一つだけ言えるとすれば日本語教師の需要は日本語を学びたいという生徒さんがいる限りなくならないということです。

 

ウイルスの蔓延で日本語を学びたいという方が減るとは今の状況では考えにくいので、流行中の今は一時的に需要は減るかもしれませんが、騒動が徐々に収束していけばこれまで通りの生活が戻ってくるのではないかと私は思います。

 

日本語教師と新型コロナウイルスに関する記事は下記でも取り上げていますので、興味のある方はこちらも参照してみてください。

コロナの影響で日本語教師の今後はどうなる?未曾有の出来事として日本だけではなく世界に多大な影響をもたらしている新型コロナウイルス(COVID-19)。 コロナが社会...

 

また、日本語教師の仕事は何も教室だけで行われるわけではありません。

 

オンラインレッスンなどわざわざ教室に通わなくても授業を展開できる環境はありますので、日本語教師のお仕事もカタチを変えて生き残っていくのではないでしょうか。

実際に副業の世界ではスカイプなどのツールを利用してオンライン日本語レッスンで働いている人も多数存在します。

日本語教師は副業として働くのにも最適! 働き方改革が叫ばれる昨今の時代、日本人の仕事のスタイルは大きく変わりつつあります。 さらに、最近では新型コロナウイルスの感...

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

直近だと日本語学習者の数は少減少傾向にありますが、外国人留学生・労働者、日本語学校、訪日外国人数などは右肩傾向にあります。

 

さらに、今後はオリンピックや万博も控えていますので、ここ数年でさらに日本語教師の需要は高まることは予測できるでしょう。

ウイルスの流行など予想外の出来事も起きつつありますが、需要が最大まで高まる前に日本語教師を目指して、ライバルより一足先に就労できるのも今がチャンスかもしれません。