コラム

文化庁指針420時間カリキュラムとは?対応している養成講座一覧

 

日本語教師に関するサイトで時おり見かける「420時間」というワード。

 

日本語教師を目指している方であればピンとくる方が多いと思いますが、中には知らない方もいらっしゃるでしょう。

知らない方のためにもここでは420時間という言葉どういう意味を持つのか解説していきます。

 

420時間カリキュラムとは

 

まず初めに420時間とは学校でのカリキュラムの時間のことを指します。

そして、この420時間のカリキュラムは、日本語教育の見直し及び向上を図るために文化庁が掲げた指針になります。

 

文化庁が優れた日本語教師を養成するために、420時間分は私たち(文化庁)が定めた教育指導をカリキュラムに取り組んで講座を展開してくださいと言った決まり事のようなものになります。

この420時間のカリキュラムは古くから定められている指針というわけではなく、2017年の8月1日から始まった比較的新しい取り組みです。

 

420時間以上開講している講座なら全て当てはまるというわけではなく、講習(研修)の内容を文化庁に届出して受理されなければが文化庁が認めた講座にはなりません。

文化庁認可の講座を修了しなければ日本語教師の資格として認められませんので、日本語教師を目指される方はこの420時間カリキュラムが取り組まれている講座の下勉強をしていかなければなりません。

 

文化庁届出受理講座を無事修了された方は、法務省告示校を始めとした国内外で日本語教師としてしっかりと働くことができるようになります。

講座が文化庁に受理されているかいないかの違いで日本語教師人生の命運を分けますので、必ず文化庁に認定されている日本語教師養成講座を受けるようにしましょう。

 

Web受講がお勧め

 

文化庁指定の講座でなければ意味がないことは分かりましたが、420時間以上も学校に通って勉強するのは正直大変ですよね。

通学するのが大変という方には、Web上で学べるオンライン受講がお勧めです。

 

420時間分全ての課程がWeb上で学べるわけではありませんが、一部の座学でも対応可能な部分は通信教育として自宅でも学ぶことが可能です。

学校によってはWeb化対応していないところもあるので、しっかりと確認するようにしておきましょう。

 

認定の条件

 

文化庁に認定される条件として講習時間が420時間に相当するカリキュラムというのは第一前提にありますが、それ以外にもいくつかの条件があります。

指針は20ページ以上にも渡るガイドラインを策定しているので条件は色々とありますが、ここではいくつかの条件を簡単に挙げていきます。

 

◆名称
日本語教育機関としてふさわしい名称であること。

◆経営基盤
運営するにあたり、ある程度の運用資金を保有している必要があります。
経営が厳しく負債が資産を上回る債務超過の状態では通りません。

◆教育
修行期間は原則的に1年以上で例外があった場合でも少なくとも6ヶ月以上であること。日本語教育機関を経営するために必要とされる識見を有している。

◆人員
校長は教育に関する業務に5年以上従事した者で、日本教育機関の運営に必要な識見を有している。生徒の定員20人につき1人以上の教員が配置されている。

 

上記に挙げたのはほんの一部の内容で、ガイドラインで掲げている項目は他にも多数あります。

詳しくは文化庁のホームページの「日本語教育機関の告示基準解釈指針」に記載されているので、気になる方は是非チェックしてみてください。

 

五つの教育科目

 

420時間ガイドラインでは「日本語教員養成において必要とされる教育内容」を踏まえて教育科目は以下の五つに区分されます。

この五つの教育科目は日本語教育能力検定試験の出題範囲でもあります。

 

文化庁認定の日本語教師養成講座を修了すればその時点で日本語教師として働けますので、検定試験を受ける必要性はありませんが一応覚えておくといいでしょう。

 

①社会・文化・地域
・世界と日本
・異文化接触
・日本語教育の歴史と現状
・日本語教員の資質・能力
②言語と社会
・言語と社会の関係
・言語使用と社会
・異文化コミュニケーションと社会
③言語と心理
・言語理解の過程
・言語習得・発達
・異文化理解と心理
④言語と教育
・言語教育法・実技
・異文化間教育・コミュニケーション教育
・言語教育と情報
⑤言語
・言語の構造一般
・日本語の構造
・コミュニケーション能力

 

文化庁認定の日本語教師養成講座がある主なスクール

 

文化庁届出受理されているスクールは全国に100校以上あります。

主なスクールとしては以下のようなところがあります。

 

・ヒューマンアカデミー
・東京中央日本語学院
・アークアカデミー
・KEC日本語学院
・アルファ国際学院
・インターカルト日本語学院
・ニューヨークアカデミー
・ECC日本語学院
・資格の大原

 

たくさんの学校がありますが、特に有名なのはヒューマンアカデミーでしょう。

国内最大の日本語教育機関として毎年1,000名以上の日本語教師を輩出しており、就職率は95%と圧倒的な実績を生み出しています。

 

ヒューマンアカデミーは上記でも述べたWeb化対応している学校でもあるので、自宅学習を希望する方にもお勧めです。

近くに開講している校舎がないという限り、ヒューマンアカデミーで学ぶのが安定的です。

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他には、アークアカデミーも日本語教育専門機関として有名な学校で、こちらも人気の学校の一つです。

30年以上も日本語教育に携わっていることもあり、独自の「Web授業管理システム」を構築するなど教育体制は整っています。

ネックな部分としては開校校舎が少なく、2019年時点で東京、大阪、京都でしか学ぶことができないです。

 

その他の学校を確認したい方は、文化庁の「日本語教員養成研修実施機関・団体」をご確認ください。

文化庁の認定校は意外と多いのスクール選びに迷われる方は多いでしょう。

 

また、下記記事では日本語教師養成講座で人気のあるスクールを比較していますので、良かったらぜひ参考にしてみてください。

日本語教師養成講座を受けるならここがおススメ!人気の学校を徹底比較! 日本語教師の学校を選ぶ際にどこで学べばいいのか迷いませんか? 公務員なら東京アカデミーや大原、医療事務ならニチイやTACと...

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

通学で日本語教師を目指す場合、文化庁の420時間カリキュラムを満たす講座を選ぶのが大前提となります。

 

このカリキュラムは2017年に策定されたばかりなので、スクールの中には文化庁の規定を満たさない講座も世の中にはあります。

なので、スクールを選ぶ際には文化庁の規定をクリアしているかどうかを基準にして、慎重に選ぶようにしましょう。